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蚕業学校長三吉米熊先生口述 滝澤七郎筆記『蚕体生理学』
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左は、この『蚕体生理学』の冒頭部分。わが国や中国では、養蚕の歴史は古いが、学理上の探求が不十分。「欧州人は三吉を避ける」は、イタリア・フランスでの体験からだろうか?歴史が古いだけでは、実際に起る種々の問題を探求し、解決していくには不十分。学理(学問的探求)の重要性を講義冒頭で生徒たちに訴えている。
「本邦ノ養蚕ハ、其ノ初メ神代ニ開ケ、其ノ進歩ニ於イテモ実ニ驚クベキ者ナリ。然レドモ惜シムラクハ、実地ニノミ篇シテ、学理ニ及ボサズ。
其ノ書ニ記スル如キモ、多クハ之れが実際ノ研究ニ止マリ、偶々之レガ学理ヲ説ク者少ナク、且ツ其ノ説ニ至リテモ、誤チノ点ナキニシモアラズ。
然ルニ西洋諸国ニ於テハ大ニ学理上ノ進歩スレドモ、実地ハ本邦及ビ支那ノ如ク太古ヨリ開ケシ者ニアラズ。故ニ実地ハ欧州人ハ三吉ヲ避クル所ナキニシモアラズ。
然レドモ単ニ実地ニノミ富ミ、学理上ニ疎ケレバ種々ノ障害、或ハ其ノ他種々蚕業上ノ源因ヲ探知スル能ハズ。
故ニ学理上ノ研究即チ其ノ源因を探求スルハ目下ノ急務ナリ。之レヨリ蚕体ノ生理及ビ解剖ヲ解説シ、暫次蚕病ニ及ボサントス。・・・・・・・(略)」
(『蚕体生理学』本文冒頭部分 句読点を補い、新字体に改め、段落を細分化した)
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