蚕都上田アーカイブ・・・・・・120年前の講義が甦る、小県蚕業学校長 三吉米熊講義『外国養蚕術』他『蚕体生理学』『蚕体病理学』『桑樹栽培法』他

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『伊仏蚕業事情』中扉

三吉米熊著『伊仏蚕業事情』明治24年4月 信濃蚕業同攻会発行

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イタリア、ミラノの三吉
 写真はイタリア、ミラノ。右から三吉米熊、木村九蔵(埼玉県)、高島北海(農商務省)、大里忠一郎(松代)、田中甚平(群馬県)(『三吉米熊先生』口絵写真(上田東高校同窓会蔵)

 明治22年、三吉米熊は農商務省の委嘱によって、欧州蚕糸業調査のために、イタリア・フランスに渡った。そのときの委嘱状と調査項目が、『三吉米熊先生』79-84頁に紹介されている。
 予定の5ヶ月を過ぎたところで、同行した松代の大里忠一郎 埼玉の木村九蔵、群馬の田中甚平は、それぞれのルートで帰国したが、米熊は欧州に留まって、さらに調査研究を続けた。
 
 委嘱された調査項目は全部で三十六項,そのうち養蚕製糸の技術に直接にかかわる項目は第21項の養蚕室の構造大小の事だけで他はすべて何らかの点において制度や組織,社会,経済,法規制などの観点からのものである(下記委嘱状参照)。例えば,蚕糸業組合の組織,制度,財政,権限などについて,養蚕家の経済について,製糸工場の経営について,製糸工女の契約について等々である。またそのはかパリ万国博覧会に出品されている人造絹糸調査も重要な任務であった。長野県知事には旅行1年間の旅行願を提出しての洋行であった。
 
 一方、この『伊仏蚕業事情』は、知人や一般からの質問に対する答えとして書かれたと著者自身のまえがきにあり、目次そのものが質問形式になっている。質問は全部で8項目、その章立ての下に数項目の質問がある。

第1章は蚕業、項目は一つ、伊仏蚕業の起源と発達んついて、
第2章は桑樹、桑の種類や栽培法について5項、
第3章は蚕種 製造や販売、検査等7項、
第4章は蚕室、その構造など1項だけ、
第5章は飼育、催青、掃立、給桑など7項目、
第6章は繭 貯蔵、検査など5項目、
第7章は生糸、検査、産額など4項、
第8章は雑事、6項目 経費、養蚕学校、倉庫、生糸商組合、養蚕小作法など6項目だった。

 農商務省委嘱の調査項目とは異なり、養蚕関係者に直接役立つ知識情報として書かれた。


農商務省からの委嘱状

三吉米熊

今般伊仏両国蚕糸業ノ状況視察トシテ渡航候ニ付別紙条項取調方委嘱候依テ手当トシテ一ヶ月金百七拾円ヅヅ五ヶ月間給與候条詳細取調ベ帰京ノ上復命スベシ
 明治廿二年三月七日
                    農商務大臣伯爵 井上 馨

伊仏蚕業取調条項

第一 伊仏ノ蚕糸業ハ如何ナル方法ニ因リ如何ナル順序ヲ経テ今日ノ進歩ヲ来タシタルモノナルヤ
第二 伊仏中央政府又ハ其地方政府ハ従来蚕糸業者ニ対シ規則若クハ準則又ハ他ノ方法手段ヲ以テ如何ナル保護ヲナセシカ又其保護ハ如何ナル場合ニ於テ如何ナル点ニマデ及ボシタルカ
第三 伊仏中央政府又ハ其地方政府カ現時蚕糸業者ニ規則準則或ハ他ノ方法手段ヲ以テシタル点ハ如何ナル場合マデニ至リ居ル歟其規則等ヲ要スル時ハ如何ナル手続ニ因テ之ヲ造事実ニ適用セシムルカ
第四 蚕糸業組合中央政府又ハ地方政府ノ法令ニ拠リ之ヲ組織シ居ルモノナルヤ将タ単ニ当業者ノ営業自治ヨリ協同団結シ相互ノ規約ヨリ成立チ居ルモノナルヤ
第五 当業者相互ノ規約ヨリ成立チ居ルモノナルトキハ政府ハ如何ナル点ニマデ干渉スルカ凡テ当業者ノ自治ニ放任シテ毫モ之ニ干渉ヲ加ヘザルカ又法律規則自由ニ任スモ他ノ方法手段ヲ以テ保護ヲ與フル歟
第六 蚕糸業組合ハ政府ノ法令ノ下ニ成立ツト民約上ヨリ成立ツトヲ問ハズ各県各郡ヲ通シテ画一ノ規則又ハ規約等ヲ遵守セシムル都合ナルヤ或ハ土地ノ状況ニ由リ各其方法ヲ殊ニスルモノナル哉
第七 蚕糸業組合ハ各県各郡ニ於テ自由ノ運動ヲ為シ更ニ各組合ヲ総理スベキ本部或ハ取締所等ノ設ケ無之者成ル哉
第八 蚕糸業組合ハ養蚕、製種、製糸、蚕糸商等各組合ヲ異ニスルモノナルヤ又ハ繭業ニ係ル一切ノ営業者ハ一組合ニ加盟シ居ルモノナル哉
第九 蚕糸業組合ニ加盟スベキモノノ資格ハ各自業務ノ多寡ニ拠ラルルモノナルヤ将タ之ガ多寡ニハ関セザルモノナル哉
第十 蚕糸業組合ノ経費ハ組合員業務ノ大小ニ由リ之ガ負担モ亦軽重アルベシ此賦課方法ハ如何ナルモノナル哉
第十一 蚕糸業組合員ノ資格ハ単ニ経費負担ノ多寡ニ資スルモノナルカ将地区ニ因リ員数ヲ限ル制アルカ
第十二 蚕糸業組合ノ設立ハ其組合員ニ互撰ヨリ出ツルモノナルカ将タ別ニ適当ノ者ヲ傭聘シ事務ヲ取ラシムル都合ナル哉
第十三 蚕糸業組合ハ事務ノ改良進歩ヲ図ル為メ各組合員ノ事業ヲ観察シ改良ノ方針ヲ示シ得ベキ熟練ノ者ヲ巡回セシムルカ如キコトヲ為サルル哉
第十四 蚕糸業組合ハ組合員ノ営業ニハ立チ入ラサル性質ノモノナルヤ将タ営利ノ事業ニマテ立入リ組合ノ自治ヲ謀ルノ権利ヲ権利ヲ有スルモノニアラサル哉
第十五 蚕糸業組合民約上ヨリ成立チタルトキハ其規約ハ府県知事又ハ農務省等ノ認可ヲ経テ実施スルモノナルヤ果シテ之ニ認可不認可ノ特権アラハ実施スヘキ規約上ノ保護モ加ヘサルベカラサルモノト考フコ是等ハ如何ナル都合ナル哉
第十六 蚕糸業組合員組合規約ニ違ヒ又ハ脱組合又ハ組合ニ入ルコトヲ拒ム者アル時ノ処分方法ハ如何
第十七 蚕糸業組合ニテハ蚕種生糸等ノ検査ヲ為シ之ニ検査為シ之ニ検査証印又ハ組合証紙等ヲ貼付シ品位ノ精粗ヲ明カニシテ需要者ニ販売スルノ都合ナルヤ又組合団結シ居ルト否ニ拘ハラス凡テ其同業者中ノ習慣等委細ニ取調ル事
第十八 桑園ト定リタルモノアラハ其桑園株一町歩対スル税幾何若シ定リタルモノナキ時ハ桑樹一本ニ対スル凡税幾何
第十九 桑園ノ仕立及栽培方肥料ノ分量其種類並ニ一反歩ニ対シ桑葉収穫ノ量ハ幾許ナルヤ
第二十 桑園培養品ノ類ハ組合ニテ一手ニ求メ分配スルノ習慣ナルヤ
第廿一 養蚕室ノ構造大小ノ事
第廿二 養蚕家ハ収繭ヲ製糸家ニ売リテ製糸ハ兼業セサルモノナルカ又養蚕家ハ其取繭ヲ製糸家ニ賃繰セシメ自カラ之ヲ販売スルカ如キ習慣アルカ
第廿三 養蚕ノ小作法ハ広ク行ハルルカ其組織方法ハ如何ナルモノナルヤ桑苗ヲ営業スル者ト植桑者ノ間植桑者ト養蚕者ノ間養蚕者ト製糸者ノ間ノ凡利益ノ自然分配方其連絡ハ如何ノ習慣アルカ統計表アラハ持帰リノ事
第廿四 製糸家カ生糸ヲ賃繰スルトキハ生糸一基付幾許繰賃ヲ得ルヲ通例トスルカ又賃繰専業ノ製糸家アルカ若シ之アラハ其組織方法ハ如何。
第廿五 養蚕家ノ合同ヨリ成立タル製糸場ニシテ単ニ各自ノ収繭ヲ繰糸シ生糸購入ノ煩ヲ省キ最モ鞏固ナル製糸工業ヲ営ムモノナキヤ若シ之アラハ其組織方法ハ如何
第廿六 製糸ノ後(蛹?)踊ニ残リタル糸ノ分ヲ紡績シタル仏語「アンテジー」ト云糸ハ如何ナルモノニテ一基ノ価凡幾何
第廿七 仏国ニテ織物製糸ノ業ヲ為ス者ノ簿冊ヲ設ヘキ為メニ定メタル千八百五十年三月七日ノ法律及其後改正アラハ其改正ノ件共取調ノ事
第廿八 製糸工女ト傭主ト約定書ノ雛形
第廿九 幼年ノ製糸工女ハ職工ノ雇人非スシテ徒弟ノ契約多キカ
第三十 製糸工女労役履歴書ノ雛形
第三十一 伊仏両国農会ノ組織 但其規則書ノ類アラハ持帰ノ事
第三十二 農会部長会頭ノ類官民混同ナルヤ或ハ官員ノ方多キカ人民ノ方多キカ
第三十三 製糸業モ農会中ノ一部ニ在ルヤ又商法会ニ属シ居ルヤ工業会ニ属シ居ル哉
第三十四 伊仏両国農産物中普及ノ物品ハ何等ノモノ多額ナルカ而シテ其利益我一町歩ニ比シ何程ナルカ
第三十五 特別ノ職業ニ因官民共同体ノ会社アラハ其組織方法
第三十六 不動産ノ人民所有大小集合ノ如何
以上




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